ユルゲン・クロップによって変化したリバプールの戦術的要因5つ
サディオ・マネとモハメド・サラーをワールドクラスへ成長させた
攻撃において欠かせないこの2人、サディオ・マネとモハメド・サラーは元々ワールドクラスの選手としてリバプールにやってきたわけではない。
それまでリバプールの攻撃の中心はフィリッペ・コウチーニョであり、彼の退団とともにリバプールは危機に陥るのではないかと言われていた。
しかし、ローマとサウサンプトンで頭角を現し実力者となっていた2人はあっという間に得点を伸ばしたこと、そして特にマネは攻守における重要な役割を果たしていたことでコウチーニョが在籍していた頃よりも全体的な攻撃の脅威が増したのだ。
この2人にカウンターを取られてしまうディフェンダーの気持ちを考えると同情以外のなにものでもないだろう。
彼らが成功した理由は明らかにこの2人が大きく関係している。
9番ではないロベルト・フィルミーノ
ロベルト・フィルミーノはルイス・スアレスやロベルト・レヴァンドフスキらのようにシーズン20点を約束してくれるストライカーではない。
しかし、いわゆる偽9番として彼を超える選手は今のところ世界にはいないだろう。
天性の才能というべきか、フィルミーノは両翼の2人や中盤の選手のためにスペースを空ける動きに非常に長けており地味ながらも確実な仕事をこなしている。
時おり見せるブラジル人らしい遊び心と結果に繋げるトリッキーなプレーもフィルミーノを語るうえでは欠かせないことだ。
元々は攻撃的ミッドフィルダーであったが、ユルゲン・クロップはすぐに偽9番としての素質を見抜き彼を信じ続けた。
リバプールにとってのこれからの課題はフィルミーノに代わるストライカーの確保だろう。
フォーメーションの変更
ユルゲン・クロップは元々4-2-3-1を好む監督であった。
そろえをリバプールにやってきて以来4-3-3を多用するようになり、俗にいうストーミングを行う上で非常に重要なシステムとして定着したのだ。
こうすることで守備の上手さもさることながら、決定力の高いサディオ・マネをできるだけ高い位置に置きそれをジョルジニオ・ワイナルドゥムがカバーするようになったのだ。
また、フィルミーノの偽9番を活かしきるシステムでもある。
得点源を両翼とし、汗かき役に回ることのできる中盤と非常にクレバーなフィルミーノが織りなす美しくエレガントな攻撃のすべてが詰まっているのだ。
フィルジル・ファンダイクとアリソンの獲得
彼らの到着とともにリバプールの運命は大きく変わった。
フィリッペ・コウチーニョを約200億円で売却し、彼らはその代役確保に向かわず1番の問題である守備の改善のために優れたディフェンスリーダーであるフィルジル・ファンダイク獲得を成功させた。
非常に金額の高い買い物であり、懐疑的な意見もあったがわずか数試合で彼の獲得はチームとして成功であることを証明した。
今では世界最高のディフェンダーとして君臨しており、リオネル・メッシに惜しくも敗れた形にはなったもののバロンドールで2位となっている。
また、同じく問題を抱えていたゴールキーパーにはローマからアリソン・ベッカーを補強した。
安定しており、足元の技術も高いアリソンは勝ち点を稼ぐことのできるゴールキーパーであることを自ら示している。
この2人はリバプールの課題であった守備を強みへと変え、結果的にチャンピオンズリーグ優勝、そして今シーズンのリーグ優勝へ繋げているのだ。
プレーメーカーとしてのサイドバック
リバプールの大きな特徴の一つだ。
あまりにも強大すぎるサイドバックの存在だ。
トレント・アレクサンダー・アーノルドとアンドリュー・ロバートソンはまるでプレーメーカーのような働きをしており、リバプールを支える戦術の最重要部分を担っている。
その証拠に、各チームはリバプール対策をするためにとにかくサイドバックの動きを封じに来るのだ。
正確なキックはもちろんのこと、縦にも中にも入ることができる2人は持っている選択肢が非常に多く、アシスト数もとんでもない数を記録している。
また、驚くのはそれだけではない。
アレクサンダー・アーノルドはアカデミー育ちのため移籍金はゼロ。
ロバートソンはハルシティからわずか£8mで獲得されており、資金をほぼかけていないのだ。
来シーズン以降も多くのチームはサイドバックを封じに来るだろうが、リバプールは複数のタイトルを獲得するために工夫をしてくるだろう。
また新たなシーズンで革新的な変化や戦術を見せてくれることを期待しよう。
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