欧州で今注目されている5人のアシスタントコーチ
アシスタントコーチは時にチームを大きく左右する。
監督を補佐するだけではなく、実際に練習で指揮を執ることもありアシスタントコーチ次第で方針が変わることもある。
そこで今回は欧州で注目されている5名のアシスタントコーチを紹介しよう。
ヘルマン・ゲアラント バイエルン
まず最初に紹介するのはバイエルンで現在アシスタントコーチを務めているヘルマン・ゲアラントだ。
ユップ・ハインケス、ルイス・ファンハール、ペップ・グアルディオラらのアシスタントコーチも務めるなどまさにプロの中のプロだ。
バイエルンが獲得してきたタイトルとともに歩いてきた男なのだ・
4-2-3-1や4-3-3といったフォーメーションを好み、ゲアラントは中盤の底に万能かつプレーメーカーの特徴を持つ選手を置くことを推奨していた。
これまでトニ・クロースやバスティアン・シュバインシュタイガー、チアゴ・アルカンタラたちが中盤で活躍していたのはゲアラントの方向性だったのだろう。
また、バイエルンがトレブルを達成した際に最も重要と言われいた守備の改善を推進したのもゲアラントだ。
守備を疎かにすることを嫌う彼は「虎」の異名を持つなどチーム改革に大きくかかわってきた。
ペピン・リンダース リバプール
長くユルゲン・クロップの右腕を務めたゼリコ・ブバチと決別し、リバプールが呼び戻したのがこのオランダ人コーチであるペピン・リンダースだ。
「オランダのペップ」とも呼ばれる彼はリバプールの欧州制覇に大きく貢献した。
元々ヘビーメタルフットボールと呼ぶなどユルゲン・クロップの戦術が激しくプレスを中心とするものに対し、リンダースはオランダ人らしい思考を持っておりポゼッションスタイルを好む人物だ。
しかし、クロップはリンダースに対しリバプールの守備が劇的に良くなった要因の1つとして感謝している。
4-3-3での守備における重要性をインターセプトとトランジションの早さと定義づけ、ジョルジニオ・ワイナルドゥムとジョーダン・ヘンダーソンという万能型のミッドフィルダーにきわめて重要な役割を担わせたのだ。
2人とも柔軟に対応し、ファビーニョが加わってからは完璧ともいえる攻守のバランスを体現することに成功したのだ。
ユルゲン・クロップ退任後の監督候補の1人ともいわれるリンダースだが、まだまだ若くそのポテンシャルは計り知れないものを持っている。
モリッツ・フォルツ RBライプツィヒ
現役時代、フラムで活躍していた元ドイツ代表のモリッツ・フォルツ。
アーセナルではスカウトとして活躍しておりピエール・エメリク・オーバメヤンやベルント・レノら獲得に一役買っていた。
現在はRBライプツィヒで難解な戦術を操る若きリーダー、ユリアン・ナーゲルスマンのアシスタントを務めている。
ナーゲルスマンは3-1-4-2を使っており、ウィングバックの役割が重要となっている。
その中でフォルツは3バックをどのように動かし、必要な時にウィングバックたちの援護を得る方法を彼に提案し今の戦術の完成させるために貢献している。
また、スカウト時の経験をもとにナーゲルスマンにダニ・オルモやアンヘリーニョ、イーサン・アンパドゥらの獲得を進言したとも言われている。
多くの経験を持つフォルツは若く、唯一経験が足りないナーゲルスマンに対して近い距離で援護できる存在でありRBライプツィヒの躍進をこれからも支える重要人物となり得る。
ヘルマン・ブルゴス アトレティコマドリー
2011年から熱すぎる男、ディエゴ・シメオネのアシスタントコーチを務めるヘルマン・ブルゴス。
資金が少なく、恵まれた環境ではないアトレティコマドリーがこれほどの規模に成長できたのはこの2人のリーダーのおかげだ。
4-4-2で非常に激しく、守備的なサッカーを展開していることは誰もが知っているはずだ。
その中でも中央の2人のミッドフィルダーの役割を決めたのは元々リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドを抑えるためだったのだ。
そして両サイドハーフは生粋のサイドハーフではないものの前にボールを運ぶ能力とセカンドボールの回収に優れた選手を配置した。
この2人のリーダーはともに激しいマンマークとプレッシングを信用しており、その思考の最終地点が今のフォーメーションになったのだ。
アトレティコマドリーは徐々に力を増し、ラリーガのタイトルを獲得するなど長年のレアルマドリーとバルセロナの独占状態に割って入るまでになった。
レネ・マリッチ ボルシア・メンヒェングラートバッハ
RBザルツブルクでアシスタントコーチを務めたのち、2019年からボルシア・メンヒェングラートバッハに移ったレネ・マリッチ。
RBザルツブルクから一緒にやっており、アシスタントコーチとして彼を最大限信頼しているマルコ・ローゼはとても良好な関係を築きチームを確実に強化している。
マリッチは心理学の学位を持っており、選手としてのキャリアを終えてから学び続けたフットボールの知識と融合させて練習で効果を発揮している。
天才的な戦術の使い方と創造性を持つマリッチはマルコ・ローゼにとって非常に助けになっており、RBザルツブルクが2016年にUEFAユースリーグを優勝できたことも納得だ。
4-3-1-2を好むマリッチは可変を組み込みながらチームを作り、ヘビーメタルと称されるRBザルツブルクの戦術を完成させた。
多くの人はマリッチを科学とアートの集合体と呼ぶように、アシスタントコーチとして監督に多くの戦術的アドバイスとチームをまとめるための秘訣を提供しているのだ。
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