チェルシーはホームでシェフィールド・ユナイテッドを迎え撃つこととなった。
シェフィールドはチャンピオンシップで革新的な戦術を持ったチームとして知られており、昇格チームでありながらプレミアで旋風を巻き起こすことを期待されているチームだ。
しかし、チェルシーもエースのエデン・アザールや監督、マウリツィオ・サッリが去るなどあったもののその戦力差は開いておりチェルシーの勝利は間違いないと思われていた。
結果から言うとシェフィールドが2点を返し、ドローで試合が終了した。
守備に難を抱えているのでと言われていたシェフィールドはまさにその通りであった。
チェルシーとしては上手く隙をついた形となったが、相手左サイドからの素晴らしい攻撃によってオウンゴールを含む2失点でドローとなってしまったのだ。
この試合の分析をしても十分面白いのだが、今回取り上げるのはチェルシーで2得点を記録したタミー・アブラハムである。
なぜなら、得点シーンだけを見てもわかるくらいセルヒオ・アグエロの匂いを感じたからだ。
タミー・アブラハムの見えている世界はアグエロと近い
タミー・アブラハムのみならずストライカーにはそれぞれ見えている”世界”がある。
ほかの選手やテレビの画面では無理だと思うシーンでも一流のストライカーは確実に決めてくることが非常に多い。
もちろん、長年の経験や慣れも多少は関係している。
だが、大半は元々持っているセンスなのだ。
最近のクリスティアーノ・ロナウドは非常に良い例だ。
ワンタッチゴーラーと呼ばれ、ドリブルでは何もできないという批判が数年前から飛び交っている。
だが、ワンタッチでゴールができるのは味方の援護ももちろんあるがロナウド自身が”いるべき場所”にいるからなのだ。
オフザボールの動きでディフェンダーと巧みな駆け引きを行い、スタジアムを映しているカメラがロナウドに映るときには既にワンたちでゴールが決められる状態になっているのだ。
アグエロは世界のストライカーの中でもこの動きが非常に上手い。
もちろん、マンチェスターシティの選手たちが優秀なのもアグエロが得点できる要因の一つである。
しかし、アグエロは必ずボールがこぼれる場所やパスが来る場所を予測しディフェンダーが対応する前に準備を整えてしまうのだ。
さて、話をタミー・アブラハムに移そう。
シェフィールド戦ではそれぞれボールの動きを予測するかの如く動いており、よくあるパターンではボールがこぼれることを予測できずにワンテンポ遅れ、得点に繋がることはなかっただろう。
すべては”そこ”にいたからこそ発生した得点なのだ。
2点目は相手のミスが原因ではあるが、そのミスに反応できるのは素晴らしいことなのだ。
我々が俯瞰で見ている視点とはまあ違った世界が彼の中では見えていたのだろう。
それほどに大きな意味を持つゴールだったのだ。
セルヒオ・アグエロはもちろん元リバプールのダニエル・スタリッジやルイス・スアレス、元チェルシーのジエゴコスタやアメリカで活躍しているズラタン・イブラヒモビッチらは同じようにミスを逃すことなくゴールネットを揺らしていただろう。
まだまだ若く、チェルシーに復帰したばかりで連携などに問題はあるものの持っている能力を見せつけることには成功しているアブラハム。
とてつもない巨大なクオリティを持った選手に成長する可能性が非常に高いため、今シーズンのチェルシーの若手の中でも最も注目しておきたい選手かもしれない。
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